薬物療法について
Q

抗がん剤の副作用を軽くするための治療はありますか?


副作用を軽くする治療は進歩しています。
つらいときは主治医に相談を。


■坂元(堀)晴子先生(川口市立医療センター外科)
■伊藤良則先生(癌研究会有明病院化学療法科乳癌担当部長)

  抗がん剤は、がん細胞の発育をおさえるものですが、副作用がおきるのは、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えるためです。抗がん剤を使うことによって、がん細胞をおさえることができたとしても、強い副作用でとても苦しい思いをするのは生活の質(QOL)の観点から、あまりよいこととはいえません
患者さんがとくにつらく感じるのは吐き気や嘔吐ですが、これはすべての抗がん剤で起きるわけではありません。この副作用が30%以上の割合で現れるリスクが高い抗がん剤には、ドキソルビシン、エピルビシン、シクロホスファミドなどがあります。これらを投与する場合には、事前に吐き気を抑える制吐剤を投与します。吐き気や嘔吐が30%までの割合で現れる抗がん剤には、パクリタキセル、ドセタキセル、マイトマイシン、イリノテカン、フルオロウラシル、メトトレキサート、ビノレルビンなどがありますが、副作用の弱い抗がん剤には基本的に制吐剤は不要です。また、“におい”を過敏に感じる場合は、その軽減にマスクの着用が効果的です。
口内炎の治療には、粘膜を保護する働きのあるうがい薬や塗り薬を使います。細菌などが感染している場合には、抗菌薬や抗生剤が処方されることもあります。痛みが強いときには、麻酔薬を口にふくませてやわらげることもあるでしょう。
便秘に対しては、下剤を症状にあわせて処方します。下痢は重症化すると脱水症状を招きやすくなるので、点滴によって水分や電解質を補いながら、整腸剤などで働きを整えていきます。
パクリタキセルによる手足のしびれなどの神経症状は、毎週投与する場合よりも、3週ごとに投与したほうが発症しやすいとされています。有効な治療法はないので、ビタミンB12を補っても改善しないときは、治療を休むことも検討します。
かつては「気持ち悪い」「つらい」ことがあたりまえだった抗がん剤治療ですが、副作用を軽くする治療も進歩しています。主治医のアドバイスに従って、安心して治療を受けるようにしましょう。


乳癌診療Tips&Traps No.14(2006年2月発行)Question1を再編集しています。

Copyright © McCann Healthcare Worldwide Japan, INC. All rights reserved.