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| [S11] New Imaging Beyond Mammography for Women at High Risk for Breast Cancer |
| Christiane K. Kuhl (University of Bonn, Germany) |
家族性乳癌の遺伝素因を有する女性における乳癌発症のlifetime riskは、80〜90%と非常に高い。発症年齢は50%以上で50歳未満と若年で、しかも増殖が速く、ホルモン受容体陰性、グレード3といった組織学的悪性の乳癌となりやすいため、早期からの頻繁な検診が必要である。
Kuhl氏は、1996〜2002年までの6年間に391家族から529例の無症候の女性を登録し、超音波検査(US)を年に2回、マンモグラフィ(Mx)と両乳房のダイナミックMRI(MRI)を年に1回施行し、平均5.3年間観察したThe
“University of Bonn trial”の成績を報告。検査精度に関して、true positiveがMxで14例、USで13例、MRIで39例であったこと、MRIはfalse
positiveが多いとされるが、本トライアルでは39例と、Mxの45例、USの134例よりも少なかったことなどのデータを示した。また特異性については、Mx
97%、US 91%、MRI 97%と大差なかったが、感度はMx 33%、US
40%、MRI 91%とMRIが特に優れていたことを紹介し、現行のガイドラインでは専門家の意見に基づいて年に1回のMxを推奨しているものの、より感度が高く、早期発見を可能とする診断方法はMRIであると述べた。
確かにMRIの感度を否定するものではない。しかし、Kuhl氏の見解は家族性乳癌の遺伝的背景を有する女性に関しての考察であり、すべての乳癌の検診にMRIが有用であるとは、もちろん結論づけることはできない。(関連する話題は、Session
3・S14のEric P. Winer氏の講演、 Session 5・S19のMonica Morrow氏の講演を参照) |
| [S12] Histopathology of Primary Breast Cancer 2005 |
| Giuseppe Viale (University of Milan and European Institute of Oncology, Dept. Pathology, Italy) |
Viale氏は、前回の会議後に改訂となったintraductal proliferative
lesionsの分類(WHO2003)およびリンパ節転移の分類(UICC/AJCC
TNM)について概説し、病理学者の立場から考察を加えた。WHO2003ではDIN(Ductal
Intraepithelial Neoplasia)の概念を導入し、intraductal
lesionsの用語の単純化、統一化がはかられた。ポイントは、病理学的には低グレードのDCISと同義のAtypical
ductal hyperplasia(ADH)がDIN 1Bとされたことで、carcinoma
の語が取れ、悪性のイメージが払拭されてover-treatmentが避けられる一方、病理学的には量的な違いのみの両者を区別することの是非や、DIN
1からより高いグレードに進行するものもあることなどから、異論もあるという。
UICC/AJCC TNMの新たな基準では、0.2cm未満の微小転移のみをpN0(i+)、isolated
tumor cells(ITC)をpN0(mol+)、0.2〜2cmの微小転移をpN1mi、2cm以上の転移ありをpN1a-3cに分類した。Viale氏は新分類の臨床的意義や、センチネルリンパ節生検(SLNB)でのステージ分類にも適用可能かどうかを検討。SLNB陽性の1,228例のうち、SLN以外の腋窩リンパ節転移を認めたものはpN1a-pN1cでは50.3%、pN1miで21.4%、ITCでは14.7%と、micrometastasisとITCのリスクは同等であった(p=0.15)。現在、ITC測定法が標準化されていないこと、ITCが生検過程でのcontaminationの場合もあることを考慮すれば、micrometastasisにおいて腫瘍サイズや細胞数を精査する意義は低いという。
さらにViale氏は、リンパ節転移があってもがんに進行しない場合も多いとのデータが集積されつつあることに触れ、「ITCが必ずしも腫瘍細胞であるとは限らない」と指摘。こうした知見に基づいて最近、転移細胞数が多ければリスクも高いとする従来のstochastic(確立論的な)アプローチにかわって、増殖能力を有する腫瘍細胞分画(=progenitor/stem
cell)は非常に少ないとする「progenitor/stem cell theory」が台頭しているという。この理論に基づいた今後の方向性として、progenitor/stem
cellのマーカーを同定してprogenito/stem cellの割合から転移細胞の悪性を予測したり、progenitor/stem
cellをターゲットとする薬剤の開発が想定されるとの見解が示された。 |
| [S13] Prognostic and Predictive Factors Revisited |
| Daniel F. Hayes (University of Michigan Comprehensive Cancer Center, Breast Oncology Program, USA) |
Hayes氏は、予後因子/治療に対する反応性の予測因子として新たに提唱されたものの、前回会議ではガイドラインに組み込まれるに至らなかった骨髄微小転移、UPA/PAI-1、HER-2、gene
expression arrayついての最近の取り組みを紹介した。
骨髄微小転移については欧州の一部で推奨されているが、治療選択に際してもっとも参考にしたい患者群(T1-2、N0)におけるpredictive
powerが小さいのが弱点だという。UPA/PAI-1は、前回会議時のエビデンスレベル(LOE)が  、  で、リンパ節転移陰性(N-)患者におけるprognostic
effectが10年以上持続するとの報告も加わり(Zemzoum I. et al.、 J Clin Oncol.2003)、Hayes氏はその有用性を評価したが、現時点でASCOガイドラインには組み込まれていないという。比較的大量(300mg+)の新鮮/凍結組織によるELISAによる測定値以外は信頼性が確立されていないこと、針生検の影響が不明という問題が残されている。
進歩が著しいのはmulti-gene expression assayである。欧州では “Amsterdam 70 gene
Signature”として知られるRosetta assayによるDNA gene expression array、米国ではGenomic
Health Incが開発したOncotype DXの研究が進んでいる。まだ多くの課題を残してはいるものの、gene
expression研究がインターベンションを評価する根拠として使われる時代になってきたことを実感するものである。 |
| [S14] Standards of Follow-up Care of Patients with Primary Breast Cancer |
| Eric P. Winer (Dana-Farber Cancer Institute, USA) |
Winer氏は、乳癌患者のフォローアップのもっとも重要な目的は対側乳癌の発生、局所再発、遠隔転移の発見にあるが、早期発見が必ずしもベネフィットにつながるとは限らないことを指摘。むやみに検査頻度を増やしたり新たな画像技術を取り入れたりするのでなく、ASCOガイドラインを基本に、患者個々のリスクを考慮した理にかなったフォローアップを行うべきであることが示された。
ASCOガイドラインでは、定期的な健康診断や自己診断などのほか、年に1回のマンモグラフィ(Mx)を推奨しており、現時点では血液検査や腫瘍マーカー、胸部X線撮影、その他の画像診断は推奨されていない。Winer氏によれば最近、米国でもMxより高感度のMRIを利用しようとする傾向があるが、false
positiveの多さが懸念される。同氏はBRCA保有者を対象としたMRIの試験(Warner
et al, JAMA 2004)で、組織生検にて良性と証明されたものが追跡1年の時点で9%程度存在したことを例に挙げ、「MRIで癌が疑われることは患者に不安を与える材料であり無視できない」とした。乳癌既往者においてもMRIが有用とのエビデンスはなく、ルーチンでの使用は推奨できないという見解だ。
一般に5年以内に起こる乳房内の局所再発や2nd primaryは、比較的予後が良好であるため早期発見の意義は高い。一方、多くが全身疾患に進行する乳房切除術後の胸壁、局所リンパ節での局所再発、乳房温存術後の局所リンパ節での再発などでは早期発見の意義は明らかではないという。遠隔転移についても、通常の検診に加えて胸部X線や超音波検査、骨スキャンなどを組み込んだ強化フォローアップで無症候での発見率がやや上がったものの、生存予後やQOLは改善されなかったとのGIVIO
trialの成績が示された。
わが国でも一部にMRIやPETなど、新たな技術に頼ろうとする気運があるが、早期発見は治療法があってこそ有意義なものとなる。腫瘍マーカーやより高感度の画像診断、転移性乳癌において生存率改善が示されている新たな治療法などについては、今後、ランダム化試験に組み込むことが考慮されることになろうが、今日のフォローアップにおいてはむしろ、エビデンスの確立された検査を確実に行いながら、術後補助療法についての指導、医師と患者とのコミュニケーションの手だてや精神面でのサポートといった側面での充実をはかるべきだろう。
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