TOPコンセンサス会議 速報レポートReportCommentSession SummaryレポートOpening AddressSession1Session2Session3Session4Session5Session6Session7Session8Session9Session10帰国後座談会2007年のSt.Gallenを先生方に振り返っていただきますSt.Gallen Conferences 2005
Session Summaryレポート

会期中1〜3日目までに発表されるセッション1〜10では、ここ2年間の知見がレビューされる。これこそが、最終日のコンセンサス会議で示される治療指針へ続く“pathway”であり、それぞれのセッション内容の理解によりその先にある治療戦略がみえてくるともいえる。今回は、編集委員の先生方に、それぞれのご専門の立場からセッションをご担当・ご解説いただいた。


サマリー執筆:大野真司(国立病院機構九州がんセンター乳腺科)
 Session 10は「Quality of life and side effects of adjuvant treatment」をテーマとして、「cognitive side effects」「thrombosis」「fertility」「menopausal symptoms」についての講演が行われた。日本ではこのような話題をひとつひとつ取り上げることがないので、今後考慮すべき課題と考えられる。

セッションサマリー

[S39] Cognitive side-effects of adjuvant treatments
Harold J. Burstein (Dana-Farber Cancer Institute、Harvard Medical School, USA)
 Harold Bursteinは、例によって得意のjokeを交えて聴衆の笑いを引き出しながらcognitive side effectsについて発表したが、「chemo brain」という言葉が印象的であった。
 化学療法によってconcentration、memory、thinking、languageなどに障害が起こることが報告されている。Bursteinは、自分の患者24名を対象にして「chemo brain」のチェックを行い、71%の患者がcognitive dysfunctionで苦労していると報告した。「chemo brain」の症状として、健忘症、集中力不足、記憶力低下などが挙げられている。
 Bursteinは、cognitive side effectsの頻度は高く重要な問題であるにもかかわらず、原因や定義などを含めて不明なことが多く、評価する手段すらないことを嘆いて発表を終えた。

[S40] Adjuvant therapies and thrombosis: How to avoid the problem?
Mark Levine (McMaster University Hamilton, Canada)
 thrombosisについては、カナダのMark Levineが発表した。担癌患者ではthrombosisを合併することが少なくないことが報告されているが、prevention studyであるNSABP P1とadjuvant therapyであるNSABP B14では、tamoxifen投与群のthromboempolism発症率はそれぞれ0.2% per yearと0.9%であった。またchemotherapyの試験では、化学療法を受けた患者における発症率は3.1〜9.6%であり、ホルモン療法の2〜7倍と高率であった。この化学療法によるthromboempolism発症機序として、化学療法が血管内皮細胞の変化やcytokineの放出を促し、adhesion moleclule分泌に影響することが考えられる。
 thrombosisを避けるためのrecommendationとして以下の項目を挙げている。
  • 低リスク症例には術後化学療法を避ける
  • tamoxifenではなくaromatase inhibitorを投与する
  • tamoxifenを投与する場合は化学療法の後にする
  • thrombophiliaのスクリーニングは行わない
  • 予防薬は使用しない

[S41] Fertility and adjuvant treatment in young women with breast cancer
Ann H. Partridge (Dana-Farber Cancer Institute, Partners Cancer Care, USA)
 fertilityに関するAnn Partridgeによる講演は、「化学療法によるamenorrehea」「fertility preservation」「乳癌治療後の妊娠の安全性と可能性」についてであった。
 化学療法によるamenorrehaについてはdataも多いが、ホルモン療法については不明な点が少なくない。また、LH-RHアナログの併用や化学療法中のcryopreservationが妊孕性を保つoptionとなりうる可能性が示された。また妊娠が乳癌の予後へ影響する可能性は低いものの、これら妊孕性と妊娠についてはデータも少なく、patient preferenceを重要視した上で考慮すべき問題であることが述べられた。

[S42] Menopausal symptoms: Re-thinking tibolone
Ernst Kubista (Medical University of Vienna, Austria)
 menopausal symptomについてはオーストリアのErnst Kubistaが発表した。その内容は、彼らが行っているtamoxifen投与患者を対象としたtiboloneとpraceboのdouble blind randomized studyの紹介に終始したものであった。翌日のconsensus panelを前にした最後の講演としては極めて肩透かしな内容であり、St. GallenからZurichへの帰途のバス中で、参加者たちから不平が聞かれるほどであった。