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Q&A  No.6掲載(2002年10月刊行)
【診断・検査-4】

マンモグラフィ所見のカテゴリー分類についてわかりやすく教えてください。

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東北大学大学院医学系研究科腫瘍外科学
大貫幸二教授 大内憲明
■カテゴリー分類の成り立ち
 マンモグラフィを用いた乳癌検診では、最終的に要精査か精査不要かの判定をくだせばよいわけですが、2段階のみでは読影者の意図が十分表現されません。同じ要精査でも、癌をあまり疑っていないのか典型的な癌であると判断しているのかで、その後の対応が異なってくるからです。また、読影結果と検診結果を解析する際にも2段階の判定では不十分です。そこで、マンモグラフィ所見の悪性度を5段階で表現する試みがなされました。マンモグラフィ検診の精度管理に有用であるという報告を受けて、アメリカ放射線学会(ACR)は、5段階のカテゴリー分類を標準化しました。それを日本でも導入して今日に至っています。カテゴリー分類には検診用と診療用がありますが、本稿では検診用について解説します。
■カテゴリー分類を考える
 算数では、3+2は5と迷わず答えることができますが、マンモグラフィの読影で、腫瘤として取れそうな陰影に円形石灰化が数個重なっている場合、ある人はあまり気にならないといい、ある人は同じような癌症例を見たことがあるので絶対癌に違いないということもあります。絵画であれば、鑑賞する個人がそのときの気分で作者の意図を解釈して、最終的に好き嫌いで判断すればよいわけですが、マンモグラフィの読影はそうはいきません。いつ誰が読影してもある程度同じ評価になるよう普遍性、客観性を持たせ、科学として成り立つようにしなければいけないわけです。それには、まず1つ1つの所見を表す用語を覚えることから始まります。そして、その用語の意味するものを病理像と対比させながら理解し、用語を組み合わせてカテゴリー分類を行います。上記の作業を行う際には、『マンモグラフィガイドライン』(医学書院)のフローチャートが参考になります。
■カテゴリー分類のポイント
 カテゴリー分類では、はじめにマンモグラムの画質、ポジショニングを評価し、読影不能か、読影可能かの判定を行います。読影可能な場合には、悪性の可能性を考慮して5段階のカテゴリーに分類します。ここでは『マンモグラフィガイドライン』に書いていないポイントを挙げました。
カテゴリー1 異常なし negative 
カテゴリー2 良性 benign
 カテゴリー1か2かの区別ついては、いずれも精査不要となりますのでそれほど厳密に考えなくてよいと思います。正常の乳房によくある所見で、誰が見ても癌と迷わないものはカテゴリー1、良性所見と判断できるが、後の比較読影の際にも参考になるので記載しておきたいものはカテゴリー2ととらえておけばよいと思います。
カテゴリー3 良性、しかし悪性を否定できず benign but malignancy can't be ruled out 
 検診で大切なのは、カテゴリー2以下は精査不要、カテゴリー3以上は要精査という定義を守ることです。これを守らないと、後の解析に混乱をきたします。良性と思うけれども念のために追加の画像検査を行おうと思ったら、それはカテゴリー3にします。検診で毎回要精査となるような良性病変がある場合には、検診の場ではなく精密検査機関で経過観察を行ってもらうことが受診者にとってもよいと考えます。
カテゴリー4 悪性の疑い suspicious abnormality 
カテゴリー5 悪性highly suggestive malignancy 
 カテゴリー3~5 の意味するところは、下記のごとくです。
カテゴリー3:とりあえず追加の画像検査が必要
カテゴリー4:細胞診や組織診も必要
カテゴリー5:マンモグラム上は癌以外に他の病変は考えられない
 精度の高いカテゴリー分類には、やはり経験(数)と努力(集中力)が必要になりますが、参考までに1つデータを示します。
 図は、平成11年度の宮城県対がん協会における50~69歳の受診者に対する読影結果と検診結果です。読影結果は、原則的にマンモグラフィ検診精度管理中央委員会(精中委)の読影試験で評価Aを取った医師の判定です。癌症例の自覚症状を有する割合は16%です。カテゴリー1の癌には中間期乳癌3例が含まれています。
  図1は、Y軸の目盛りを対数で取っていますが、おもしろいことに非癌症例のカテゴリー1~5が右下がりの直線になっています。検診施設におけるカテゴリー分類の1つの目安になると思います。また、外来発見乳癌はカテゴリー4、5が中心ですが、検診で発見される癌症例はカテゴリー3で見つかる場合が最も多いことがわかります。
 図2は、カテゴリー毎の癌症例の割合を見たものです。カテゴリー1、2 はそれぞれ0.05%、0.1%です。カテゴリー3は8%、カテゴリー4は41%、カテゴリー5は100%が癌症例でした。読影の際、カテゴリー3~5の判断はこれらの数字を目安に判定すればよいと思います。
 検診機関は、カテゴリー3以上と判断した症例について、精密検査機関における検査方法とその結果を把握し、読影にフィードバックをかけることが必要であると思います。逆に、カテゴリー5で異常なしもしくは良性と連絡がきた症例に対して、精密検査機関に再検査を依頼したところ、癌と診断されたケースもありますので、両機関の連携は精度管理の面からも重要です。また、中間期乳癌の把握とマンモグラフィ所見の検討も欠かせません。
図1 カテゴリー分類ごとの癌と非癌症例数
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図2 カテゴリー分類ごとの癌の割合
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■日本におけるカテゴリー分類の標準化
 現在、精中委の教育・研修委員会では読影講習会を全国展開して、カテゴリー分類の標準化を進めています。その目標は、診療の場や学会で、共通の概念を用いて情報の伝達や議論を行うことができることにあります。2日間の読影講習会を受講することは、カテゴリー分類を理解するのに最も確実で効率のよい方法だと思います。また、講習の最後に100 症例の読影試験があり、その成績によってAからDまでの評価を受けることができます。その成績は、自己評価に役立つとともに、個々の検診機関で精度管理のための手段として用いることも可能です。
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