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本サイトは医師を対象とした定期刊行誌「乳癌診療Tips&Traps(2001年9月~2015年9月発刊)」(非売品:大鵬薬品工業株式会社提供)の編集に携わる先生方を中心にたくさんの乳腺専門医にご協力いただきながら乳がんに関する情報をわかりやすくQ&Aやアニメーション形式で提供しています。掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

乳がん Q&A

乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。

がん家系とは何ですか?

真の「がん家系」とは、原因遺伝子が解明されている家族性(遺伝性)腫瘍であり、がん全体の5~10%程度と言われています。

山内英子先生
(聖路加国際病院ブレストセンター長)

よく、「うちの家系はがん家系です。」という発言を聞くことがあります。がんの種類を問わず、とにかくがんになっている血縁者が多いといった場合に用いられているようです。確かに、がんになる原因遺伝子がまだ何もわかっていなかった時代には、それは正しい言い方であったかもしれません。しかし現在は、医学の進歩に伴い、一部のがんの種類において、その遺伝子の関与が解明されてきており、それが必ずしも正しいとは言えなくなってきました。
がんは「遺伝」によってのみ起こるわけではなく、「環境」にも大きく関与します。遺伝と環境の両方のバランスによって起こってくるのです。血縁者の中である一定のがんが多かったとしても、同じ環境で生活していたことが原因でがんになっている可能性もあります。また、他の疾患にかかりにくく、高齢まで長生きする家系であるが故に、加齢によるがんが多くなるということも考えられます。
このようなことから、「がん家系」という言い方は、非常に曖昧になるのです。真の「がん家系」とは、原因遺伝子が解明されている家族性(遺伝性)腫瘍であり、がん全体の5~10%程度と言われています。遺伝性腫瘍の特徴として、若年での発症、血縁者に同じがんの罹患が多い、また一人が何度もがんに罹患するなどが挙げられます。
しかし、この遺伝性腫瘍の原因となる遺伝子が他の臓器のがんに関与していることもあります。そのような中、一口で「がん家系」とは言えず、そのがん家系の種類が何かということにも言及する必要があります。

家族性(遺伝性)腫瘍

生まれつき遺伝子に異常(変異)があり、それが原因で発症するがん

乳癌診療Tips&Traps No.40(2013年6月発刊)Question2を再編集しています。

※掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。