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本サイトは医師を対象とした定期刊行誌「乳癌診療Tips&Traps(2001年9月~2015年9月発刊)」(非売品:大鵬薬品工業株式会社提供)の編集に携わる先生方を中心にたくさんの乳腺専門医にご協力いただきながら乳がんに関する情報をわかりやすくQ&Aやアニメーション形式で提供しています。掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

乳がん Q&A

乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。

乳房に痛みがあります。どうしたらよいでしょうか?

痛みだけで、しこりなどの他の症状がないかを確認しましょう。

土橋一慶先生
(千川産婦人科医院院長)

乳房痛は、しこり感とともに、もっとも多い訴えの1つです。排卵から次の月経までの黄体期に分泌されるホルモンの作用で、乳房に張りや痛みを感じます。多くは生理的なもので、日常生活に支障をきたすことはありませんが、強い痛みが続く場合は治療の対象になります。
治療が必要な乳房痛は、現れる時期や月経の有無から、「周期性乳房痛」と「非周期性乳房痛」に分けられます。
周期性乳房痛は、月経のある女性に起こります。黄体期から症状が現れて、次の月経まで7日間以上にわたって中等度より強めの痛みが続きます。痛みのために、眠りが浅くなったり、通勤や通学に不都合を生じたり、不快感や苦痛感、性生活への影響もみられます。女性の性周期には複数のホルモンが関わっているので、どれか1つのホルモンに原因を特定することはできませんが、プロラクチンの過剰分泌などのホルモン変化がおもな原因とされています。周期的な強い乳房痛は、乳がんの発症や増殖、発育に関わる危険因子の1つで、乳がんのリスクを高めることが知られています。
非周期性乳房痛は、月経周期とは関係なく痛みが現れます。閉経後の女性に多くみられますが、この乳房痛もホルモン変化が原因と考えられています。
ホルモンの変動による乳房痛は両方の乳房が痛むことが多いのですが、片側の乳房の一部が長期間にわたって痛む場合は乳がんとの関連が疑われます。このほかにも気になる症状があるようなら、専門医を受診しましょう。

乳癌診療Tips&Traps No.13(2005年5月発行)Question3を再編集しています。

※掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。