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本サイトは医師を対象とした定期刊行誌「乳癌診療Tips&Traps(2001年9月~2015年9月発刊)」(非売品:大鵬薬品工業株式会社提供)の編集に携わる先生方を中心にたくさんの乳腺専門医にご協力いただきながら乳がんに関する情報をわかりやすくQ&Aやアニメーション形式で提供しています。掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

乳がん Q&A

乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。

乳腺症と診断されました。いずれ乳がんになる可能性はありますか?

基本的には乳がんとは無関係。でも注意は必要です。

岩瀬拓士先生
(癌研究会有明病院乳腺科副部長)

乳腺症とは、もともと乳腺の中にある正常な細胞がアンバランスに増えたり、変化したりすることで、乳房のあちこちがごろごろと硬くなる状態をいいます。女性ホルモンのアンバランスが関係しているといわれていますが、正確なところはよくわかっていません。
しばしば乳房の痛みを伴い、乳首から出血することもありますが、成熟した女性では少なからずみられ、軽いものであれば病気として扱われないこともあります。
基本的には病気ではないので、特別な治療は必要ありません。ほとんどの痛みは周期的なもので、長くは続きません。
乳房にしこりができることから、乳がんに対する不安が痛みとも関係していて、がんでないとわかると安心して、痛みが気にならなくなる人もたくさんいます。
さて、将来的に乳がんになるかというご質問ですが、かつて「前がん状態」といわれた時代もありましたが、今日では一部の乳腺症を除けば、基本的にはがんとは無関係と考えてよさそうです。
しかし、乳腺症の乳房にも、当然乳がんが発生することがあります。この場合、乳腺症のないやわらかい乳房の人に比べると触診でも画像診断でも見つけにくいという欠点があります。症状に変化がなくても、月に1度の自己検診(触診)と、年に1度の画像による検診を励行して、乳房のわずかな変化を見逃さないことが大切です。

乳癌診療Tips&Traps No.12(2004年8月発行)Question2を再編集しています。

※掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。