乳がん Q&A
乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。
センチネルリンパ節生検とは、どのように行われるのですか。また、センチネルリンパ節生検にはどのような利益がありますか。
通常は乳がんの手術の際に行われ、センチネルリンパ節にがん細胞が見つからなければ、腋窩リンパ節は郭清しません。
津川浩一郎先生
(聖路加国際病院ブレストセンター乳腺外科医長)
中村清吾先生
(聖路加国際病院ブレストセンター長乳腺外科部長)
センチネルリンパ節生検は、腋窩リンパ節のなかでも、最初にがん細胞がたどり着くリンパ節(センチネルリンパ節)にがん細胞があるかどうかを調べる検査で、通常は乳房の手術の際に行われます。
手術の前に乳房に微量の放射性同位元素やある種の色素を注射すると、リンパ管を流れてセンチネルリンパ節に集まります。放射線が検出されたり、色素に染まったリンパ節を取り出して、がん細胞があるかどうかを顕微鏡で調べるのです。がん細胞がみつからなければ、腋窩のリンパ節に転移がないと判断し、腋窩リンパ節は郭清せずにすみます(腋窩リンパ節郭清を省略した場合のメリットを下表にまとめました)。もし転移があれば腋窩リンパ節郭清を行います。
郭清とは、ある領域の組織をまとめて手術で切除すること。センチネルリンパ節生検でがん細胞がみつかった場合には、そのリンパ節が含まれる脂肪ごと切除し、取り出した後でリンパ節をさがしてがん細胞の有無を調べます。リンパ節にがん細胞があった場合は、全身に転移している可能性があり、手術後、再発の予防を目的とした薬物治療が必要となります。
腋窩リンパ節郭清を省略することのメリット
- 入院期間が4~5日と、短縮することができます
- 手術後のリハビリテーションは不要となり、手術当日から腕を動かすことができます
- 手術後の腕のむくみの合併症はほとんどありません
乳癌診療Tips&Traps No.18(2007年2月発行)Question1を再編集しています。
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