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本サイトは医師を対象とした定期刊行誌「乳癌診療Tips&Traps(2001年9月~2015年9月発刊)」(非売品:大鵬薬品工業株式会社提供)の編集に携わる先生方を中心にたくさんの乳腺専門医にご協力いただきながら乳がんに関する情報をわかりやすくQ&Aやアニメーション形式で提供しています。掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

乳がん Q&A

乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。

術後も定期的な検査が必要ですか?

再発しやすい術後3年以内は、4~6カ月おきに診察を。

中村清吾先生
(聖路加国際病院外科副医長)

乳がんの手術後に、どのような検査をどのぐらいの間隔で行うのがよいのかは、専門家の間でも意見の分かれるところです。血液検査で簡単に調べられる腫瘍マーカーは、術前術後に関わらず定期的に測定されている場合が少なくありません。しかし、この検査が、がん再発後の生存率の改善に役立っているかどうかは疑わしいといわれています。
アメリカでは、大規模な調査を経て、1997年に米国腫瘍学会(ASCO)がガイドラインを定めました。これによると、がんの転移を早期発見するために、各種の画像診断や腫瘍マーカーの測定を続ける根拠は不十分とされています。
唯一、意義があるとされたのは、温存療法を受けた乳房と、反対側の乳房の乳がん再発の早期発見のために、毎年マンモグラフィ検査を受けることです。あとは、再発しやすい術後3年以内は、4~6カ月ごとに問診や触診を中心とする診察を受けて、症状に応じた検査を行えばよいとしています。
腫瘍マーカーの測定は、再発がんの治療効果を確かめる助けにはなるものの、再発がんの早期発見やがんの進行度の判定にはすすめられていません。
これまでは、「念のために」という考えで過剰な検査が行われてきた傾向があります。乳がんの手術後に一律に定期的な検査を行うのではなく、十分な問診と視触診を行った後に、必要最低限の検査を行う方法が主流になってきています。

乳癌診療Tips&Traps No.6(2002年10月発行)Question2を再編集しています。

※掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。