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本サイトは医師を対象とした定期刊行誌「乳癌診療Tips&Traps(2001年9月~2015年9月発刊)」(非売品:大鵬薬品工業株式会社提供)の編集に携わる先生方を中心にたくさんの乳腺専門医にご協力いただきながら乳がんに関する情報をわかりやすくQ&Aやアニメーション形式で提供しています。掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

乳がん Q&A

乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。

マンモグラフィによる被曝が心配。どのくらい危険なのでしょうか?

1度に受ける量は、日常的に浴びている自然放射線量よりもごく微量。まず心配はありません。

角田博子先生
(東京都立府中病院診療放射線科)

放射線被曝を受けた場合、ある値を超えて被曝した場合に必ず人体に何らかの影響がおよぼされる「確定的影響」と、可能性は極めて低いものの、ごく少量であっても発がんのリスクを負うことになる「確率的影響」が考えられます。
マンモグラフィで乳房が浴びる吸収線量は1~3mGyです。米国放射線専門医会による「1方向あたり吸収線量で3mGy以下」という勧告に準じて、日本でもこれが基準となっています。最近の撮影技術レベルでは、ほとんどの場合1~2mGy以下で撮影が可能です。これを実効線量で示すと、0.05~0.15mSvの被曝があるといわれています。
ところで、私たちは日頃から、宇宙線や大地、体内の放射能などから、それと気づかぬうちに年間約2.40mSvの自然放射線を浴びています。東京からサンフランシスコまで飛行機で移動する間には0.038mSvもの自然放射線による被曝を受けるというデータもあります。こうした自然放射線量は、地域によってもかなり差があることもわかっています。
こうしたことを考えれば、マンモグラフィによる被曝量では、確定的影響はけっして生じないといえます。もちろんリスクはゼロではありませんから、むやみに撮影していいということにはなりませんが、不必要に心配する必要もありません。

吸収線量

人体1kgあたりに吸収された放射線エネルギー量を、「吸収線量」といいます。単位はグレイ(Gy)。

実効線量

放射線が人体に与える影響は、吸収された放射線のエネルギー量(吸収線量)と放射線の種類、放射線が当たる組織や臓器などによって異なります。この影響の大きさを表す量を「実効線量」といいます。単位はシーベルト(Sv)。

乳癌診療Tips&Traps No.2(2001年9月発行)Question2を再編集しています。

※掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。