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本サイトは医師を対象とした定期刊行誌「乳癌診療Tips&Traps(2001年9月~2015年9月発刊)」(非売品:大鵬薬品工業株式会社提供)の編集に携わる先生方を中心にたくさんの乳腺専門医にご協力いただきながら乳がんに関する情報をわかりやすくQ&Aやアニメーション形式で提供しています。掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

乳がん Q&A

乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。

術後にはどのようなリハビリが必要になりますか?

退院までに腕が前方に120度まで上げられるようになるのが目標。

中村清吾先生
(聖路加国際病院外科副医長)

しこりだけを取り除く手術であれば問題ありませんが、わきの下にあるリンパ節の切除も含めた手術を行う場合には、切除部分が広範囲におよぶため、手術直後に肩や腕が動きにくくなることがあります。運動機能の回復を早めるために、できるだけ早い時期からリハビリテーションを始めることが大切です。

標準的なリハビリとしては、下記のメニューが推奨されています。

術後1~2日目 体のラインを基本として、腕を前方、左右へ40度の角度まで上げることを目標とする。
3日目 45度くらいまでを目標に上記同様の運動をする。
4日目~ 45~90度くらいまでを目標に上記同様の運動をする。しだいに関節を大きく動かすように意識しながら行う。

また、ドレーンを抜いた後は、「壁のぼり運動」や「ひもを使った運動」(図)など肩関節の本格的なリハビリテーションを始めます。
腕を前方に120度以上上げられるようになれば、家に帰っても身の回りのことはほとんどできるようになります。退院(平均術後5日目)までに、120度くらい上げることを目標にしましょう。
運動療法を計画的に行うと、術後6カ月が経過する頃には、手術前の90%ぐらいにまで機能が回復するといわれています。退院後もリハビリテーションに積極的に取り組んで、生活の質(QOL)を維持していくことが大切です。

  • 壁のぼり運動
    (1)壁に向かって立ち、両手を肩の高さにおく。
    (2)壁にそってゆっくりと指先を動かし、できるだけ上まで伸ばす。
  • ひもを使った運動
    健康な手でひもを引き、手術側の手を引き上げる。

ドレーン(誘導管)

創傷部にたまった血液、消化液、尿、膿、浸出液などを、体外に排出するための管。この管を用いて、洗浄、薬液注入、造影検査などが行われることもあります。

乳癌診療Tips&Traps No.2(2001年9月発行)Question3を再編集しています。

※掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。