乳がん Q&A
乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。
乳がんの術後経過観察中に肝臓にも病変があるといわれました。
乳がんの転移において、「肝転移」を疑う所見が認められたら、肝臓以外の他臓器への転移をチェックし、再発転移の治療を開始する必要があります。
河野勤先生
(公益財団法人佐々木研究所附属杏雲堂病院腫瘍内科)
乳がんの転移は多い箇所から順に、骨、肺、皮膚、リンパ節、肝臓、胸膜、中枢神経系があげられます。
再発転移の治療については、無症状のうちに治療を開始する意義が示されていないこともあり、手術後、定期的にCTやエコー等の画像検査をする必要がありません。
しかし、肝転移については、発見・治療が遅れると肝障害が進行し、有効な治療ができなくなる可能性があります。そのため、手術後の経過観察中に「食欲不振・だるさ・腹痛等の症状・診察での異常所見・血液検査異常」などによって肝臓病変が疑われた時には、乳がんの肝転移を疑ってCTや腹部エコーなどの画像検査を行う必要があります。
その結果、肝転移を疑う所見が認められた場合には、その他の臓器へ転移しているかをチェックし、再発転移の治療を開始していきます。
ちなみに、手術後に初再発病巣として肝臓のみに転移が見つかることは、再発転移全体の5%前後です1)。
文献
1) Er O, et al: Cancer J 14(1):62-8, 2008
乳癌診療Tips&Traps No.43(2014年4月発刊)Question3を再編集しています。
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