乳がん Q&A
乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。
抗がん剤の副作用が心配。どのような症状がありますか?
吐き気や口内炎、下痢、しびれなどがあります。
坂元(堀)晴子先生
(川口市立医療センター外科)
伊藤良則先生
(癌研究会有明病院化学療法科乳癌担当部長)
抗がん剤の副作用は、患者さんが症状として自覚するものと、血液検査などでわかるものがあります。
自覚症状は、吐き気や嘔吐、口内炎、便秘や下痢、手足のしびれなどがおもなものです。白血球の減少、血小板の減少、骨髄の働きの低下などの副作用は、血液検査などでわかります。
吐き気や嘔吐は、抗がん剤治療を続けるうえでもっともつらい副作用です。吐き気や嘔吐のコントロールが、抗がん剤治療を続行できるかどうかの鍵を握っているといっても過言ではありません。吐き気や嘔吐は、すべての抗がん剤で起きるわけではないので、それぞれの副作用の強さに応じた対処法をとります。
口内炎は、抗がん剤が口の中の粘膜を刺激するためと、免疫の低下によって感染しやすくなるために起きるとされています。一度口内炎ができてしまうとなかなか完治しないので、うがいなどによる予防が大切です。
吐き気のために食欲が低下すると、便秘しやすくなります。逆に、抗がん剤の刺激によって、下痢を起こす場合も少なくありません。
このほか、パクリタキセルという抗がん剤では、手足のしびれ感などの神経症状が起きることがあります。症状がひどくなると、歩くのが困難になったり、箸が持てないなど、日常生活に支障が出てくることもありますが、投与が終わって半年から2年ほどでそうした副作用はなくなります。
乳癌診療Tips&Traps No.14(2006年2月発行)Question1を再編集しています。
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