乳がん Q&A
乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。
ホルモン療法としてアロマターゼ阻害剤を飲んでいますが、骨粗しょう症になりやすいと聞いています。なにか予防する方法はありませんか。
アロマターゼ阻害剤で治療を行う場合は、定期的に骨量を測定して、必要な場合には骨粗しょう症の治療薬を飲むことになりますが、予防には食事や運動など、日常生活への配慮が大切です。
佐治重衡
(埼玉医科大学国際医療センター臨床腫瘍科・腫瘍内科准教授)
アロマターゼ阻害剤は、カルシウムの生成を助けるエストロゲンの合成を阻害するため、骨粗しょう症のリスクが高くなります。この薬を使用する場合は、定期的に骨量を測定し、必要に応じてビスホスホネート製剤やカルシウム製剤、活性型ビタミンD3製剤といった骨粗しょう症治療薬が併用されます。
骨粗しょう症は治療薬を飲むに至る前に、日常生活の工夫で予防することが可能です。食生活では、栄養のバランスに配慮しながら、乳製品や、大豆製品、小魚といった、骨の主成分であるカルシウムを多く含んだ食品を積極的に摂るように心がけましょう。また、カルシウムの吸収を助ける肉、魚、卵などのタンパク質やビタミンDを含んだ食品(魚、きくらげなど)の摂取も必要です。また、骨粗しょう症の予防には運動も大切で、体調や体力をみながら、ウォーキングなど実行しやすいものを日課に取り入れていくのもよいでしょう。
骨粗しょう症が気になる方は、こうした日常生活上の注意も含め、まずは医師にご相談ください。
乳癌診療Tips&Traps No.26(2009年6月発行)Question2を再編集しています。
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