メニュー

本サイトは医師を対象とした定期刊行誌「乳癌診療Tips&Traps(2001年9月~2015年9月発刊)」(非売品:大鵬薬品工業株式会社提供)の編集に携わる先生方を中心にたくさんの乳腺専門医にご協力いただきながら乳がんに関する情報をわかりやすくQ&Aやアニメーション形式で提供しています。掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

乳がん Q&A

乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。

抗がん剤の副作用を軽くするための治療はありますか?

副作用を軽くする治療は進歩しています。 つらいときは主治医に相談を。

坂元(堀)晴子先生
(川口市立医療センター外科)
伊藤良則先生
(癌研究会有明病院化学療法科乳癌担当部長)

抗がん剤は、がん細胞の発育をおさえるものですが、副作用がおきるのは、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えるためです。抗がん剤を使うことによって、がん細胞をおさえることができたとしても、強い副作用でとても苦しい思いをするのは生活の質(QOL)の観点から、あまりよいこととはいえません。
患者さんがとくにつらく感じるのは吐き気や嘔吐ですが、これはすべての抗がん剤で起きるわけではありません。この副作用が30%以上の割合で現れるリスクが高い抗がん剤を投与する場合には、事前に吐き気を抑える制吐剤を投与します。吐き気や嘔吐が30%までの割合で現れる抗がん剤には、基本的に制吐剤は不要です。また、“におい”を過敏に感じる場合は、その軽減にマスクの着用が効果的です。
口内炎の治療には、粘膜を保護する働きのあるうがい薬や塗り薬を使います。細菌などが感染している場合には、抗菌薬や抗生剤が処方されることもあります。痛みが強いときには、麻酔薬を口にふくませてやわらげることもあるでしょう。
便秘に対しては、下剤を症状にあわせて処方します。下痢は重症化すると脱水症状を招きやすくなるので、点滴によって水分や電解質を補いながら、整腸剤などで働きを整えていきます。
タキサン系の薬剤による手足のしびれなどの神経症状は、毎週投与する場合よりも、3週ごとに投与したほうが発症しやすいとされています。有効な治療法はないので、ビタミンB12を補っても改善しないときは、治療を休むことも検討します。
かつては「気持ち悪い」「つらい」ことがあたりまえだった抗がん剤治療ですが、副作用を軽くする治療も進歩しています。主治医のアドバイスに従って、安心して治療を受けるようにしましょう。

乳癌診療Tips&Traps No.14(2006年2月発行)Question1を再編集しています。

※掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。