乳がん Q&A
乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。
針生検を行い、「ルミナルB」と診断されました。ルミナルBとは何でしょうか?
乳がんにはさまざまなタイプがあり、ホルモン受容体陽性で増殖能力が高い特徴を持つ乳がんをルミナルBといいます。
渡辺亨先生
(浜松オンコロジーセンター院長)
乳がんといっても皆同じではありません。遺伝子解析の研究により、乳がんにはさまざまなタイプがあることが報告されています。最近、日常臨床でも4つのタイプ(ルミナルA、ルミナルB、Erb-B2遺伝子過剰発現、ベーサルライク)に分けられ、それぞれのタイプに適した治療を行うことがより効果的であることがわかってきました。その一つであるルミナルBは、ホルモン受容体があり(ホルモン受容体陽性)、乳がん細胞の増殖能力が高い特徴を持っています。そのため、ルミナルBには、ホルモン受容体に対するホルモン療法に加えて、増殖能力を抑える化学療法が必要です。
乳がんのタイプは、針生検にて確認することができます。そして、確認されたタイプに適した術前治療が選ばれることも多くなってきました。手術の前にホルモン療法あるいはホルモン療法に化学療法を加えて治療を行うことで、乳がんのしこりをできるだけ小さくすることによって手術する範囲を狭くして形の良い乳房を残すことができます。また、患者さん自身も自分で触って乳がんのしこりが小さくなっていくのがわかりますから、「治療を続けよう!」という意欲を高めることができると思います。
乳癌診療Tips&Traps No.38(2012年12月発刊)Question1を再編集しています。
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