乳がん Q&A
乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。
「治験に参加してみませんか?」と言われました。どうしたらいいですか?
治験について納得のいくまで説明を受け、参加によるメリット(効果等)とデメリット(副作用等)を十分に検討しましょう。
秋山太先生
(癌研究会癌研究所病理部 部長)
医療は治験(臨床試験)の結果である「エビデンス」に基づいており、がん診療における臨床試験は、がんの予防、診断、治療について、よりよい方法を開発するためには必須のステップです。
「治験」や「臨床試験」と聞くと、「研究の対象」のようなイメージがあるかもしれませんが、これらの実施までには効果や安全性を確認するために客観的・科学的な評価を行いながら、いくつもの試験を行っています。参加する患者さんにとっては、その時点での最善の医療と同等またはそれ以上の効果を有する医療を受けられる可能性につながり、将来の患者さんにとっては、エビデンスに基づく最善の治療法が誕生する可能性につながります。
さらに、実施にあたっては、あらかじめ準備された試験実施計画書(プロトコール)に基づいて、万全のチーム体制による厳しい管理の下実施されますので、一般診療より手厚い医療を受けることになります。しかし、エビデンスのない医療であるために思いがけない副作用があらわる可能性や有用な効果がみられない可能性があるというデメリットもあります。
主治医(治験担当医師)から臨床試験の参加について声をかけられたら、試験の概要はもちろんその治療法の必要性等(表)等について十分な説明をしてもらったうえで、参加を検討しましょう。
表:臨床試験参加を決定するにあたって説明を受けるべき主な事項
- 試験の概要(目的、治療法、参加基準、参加人数、参加施設等)
- 自身の病状
- 自身にとってのその治療の必要性
- 治療によって予想される利益(効果)
- 治療によって予想される副作用
- 治療にかかる費用
- 治療チームの体制
- 参加の自由(試験の途中で治療を中止できるか)
など
乳癌診療Tips&Traps No.28(2010年5月発刊)Topicsを再編集しています。
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