メニュー

本サイトは医師を対象とした定期刊行誌「乳癌診療Tips&Traps(2001年9月~2015年9月発刊)」(非売品:大鵬薬品工業株式会社提供)の編集に携わる先生方を中心にたくさんの乳腺専門医にご協力いただきながら乳がんに関する情報をわかりやすくQ&Aやアニメーション形式で提供しています。掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

乳がん Q&A

乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。

新しい薬剤や治療法を開発するための治験について、教えてください。

新しい薬剤や治療法を開発するための治験は、客観的・科学的評価を十分に行いながら段階的(第Ⅰ相~第Ⅲ相)に進められます。

秋山太先生
(癌研究会癌研究所病理部 部長)

新しい薬剤や治療法の開発は、培養細胞や実験動物を対象とした前臨床試験による有効性、安全性、薬物動態・薬力学などの検討の後、ヒトを対象とした臨床試験において安全性、有効性を検討します。臨床試験は、段階別にその目的と対象が異なります。

臨床試験の段階ごとの目的と対象

第Ⅰ相試験:新薬の毒性と至適投与量を検討する試験

(1)目的

  • 毒性の種類と程度の検討
  • 毒性が許容できるもっとも高い投与量(最大耐量)の推定
  • 第Ⅱ相への推奨量の決定
  • 薬物動態・薬力学の検討
  • 治療効果の観察(第Ⅰ相試験では少ない投与量で観察が行われる場合が多く、腫瘍縮小が得られる患者さんは5%程度と言われています)


(2)対象

  • 20名程度
  • 標準的治療が存在しないか、または標準的治療が耐性となった患者さん

第Ⅱ相試験:特定のがん腫に対する治療効果および安全性を評価する試験

(1)目的

  • 腫瘍縮小効果の評価
  • 薬剤の投与継続によって蓄積される毒性を含む毒性の評価
  • 第Ⅱ相への推奨量の決定
  • 薬物動態・薬力学のさらなる検討
  • 効果が期待できるがん腫の特定
  • 第Ⅲ相試験に進めるかの決定


(2)対象

  • 乳がんは一定の効果が期待できる第ー、第二選択となる標準的な併用療法が存在するために転移再発例もしくは既治療薬不応例の場合が多い

第Ⅲ相試験:単剤または他剤との併用における標準的治療とのランダム化比較試験

(1)目的

  • 従来の標準的治療と比較した治療効果の評価
  • 生存期間の延長
  • 症状の改善
  • 副作用の軽減
  • QOL向上


(2)対象

  • 薬物療法が適応となる症例

乳癌診療Tips&Traps No.28(2010年5月発刊)Topicsを再編集しています。

※掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。