乳がん Q&A
乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。
小さな子どもに「乳がん」であることを伝えなくてはなりません。どのように話せばよいでしょうか?
すべてを話す必要はありません。お子さんが必要としている情報を、お子さんの様子に合わせて、わかりやすい言葉で伝えることが大切です。
小澤美和先生
(聖路加国際病院小児科医長)
子育ての多くを担っているお母さんが病気になることは、お子さんの生活に大きな影響をもたらします。お子さんにとっていちばん大切なお母さんの重要な事実は、できるだけ嘘がないように伝えることで親子の信頼関係が築かれていくものだと思われますが、これはすべてを包み隠さず伝えるということではありません。
お母さんが乳がんにかかった場合、お子さんに伝えたいことは3つあります。
- お母さんの病気は普段よくかかる風邪のような病気とは違うものであること(“がん”という名前を伝えることができるのなら、一度で構わないので伝えられるとよいでしょう)。
- お母さんの病気(がん)はうつるものではないこと。
- お母さんが病気になったことは、誰のせいでもないこと。もちろん、あなたのせいでもないこと。
これらを話すにあたっては、不必要な心配を取り除いてあげることがポイントです。そして、「お母さんにとってあなたはとても大切な人だから話している。あなたにとって同じように大切な人がいて、お母さんの病気のことを話したいと思ったら、その人に話す前にお父さんとお母さんに相談して」と付け加えておくとよいでしょう。
お母さんの病気のことを聞いたお子さんが不安に思っていろいろな質問をしてきた場合は、結果的に嘘になってしまうような回答はせず、まずはお子さんの心配を受け止めてあげるとよいでしょう。手を握ったり、そっと抱き寄せてあげると、言葉の意味以上の心が伝わるものです。
乳癌診療Tips&Traps No.33(2011年9月発刊)Topicsを再編集しています。
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