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本サイトは医師を対象とした定期刊行誌「乳癌診療Tips&Traps(2001年9月~2015年9月発刊)」(非売品:大鵬薬品工業株式会社提供)の編集に携わる先生方を中心にたくさんの乳腺専門医にご協力いただきながら乳がんに関する情報をわかりやすくQ&Aやアニメーション形式で提供しています。掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

乳がん Q&A

乳がんに関する様々な疑問を乳腺専門医が分かりやすく解説しています。

診療ガイドラインとは、どのように作成されるのですか。また、治療法について患者の希望とガイドラインが違う場合には、どうするのでしょう。

多くのevidenceを参考にして、経験豊富で知識の多い複数の専門医によって作成されます。

高塚雄一先生
(関西労災病院副院長)

現在の医療は、医学的な根拠(evidence)に基づいた判断に従って診療を進めることが基本となっています。この考え方を、EBM(Evidence Based Medicine)といいます。
EBMを実践するためには、疾患や病態に関する膨大な情報が必要になるのですが、日常診療の中で、医療者それぞれがそうした膨大な情報を集めるのは困難です。そこで、その時点におけるベストの判断を迅速に下せるようにするために、多くのevidenceを参考にして、各疾患に関する診療のポイントをまとめたものが「診療ガイドライン」です。
乳がん治療に関しては、日本乳癌学会が作成した『乳癌診療ガイドライン』があり、海外ではNCCNガイドライン、St. Gallenコンセンサス、ASCO technical assessmentなどが参考にされています。

患者さんの要望に応じて、柔軟に適用を考える

乳がんの治療も、基本的にこれらのガイドラインに沿って進められます。ただし、「すべてを守らなければダメ」というわけではありません。
たとえば、ガイドラインでは手術後の治療に関して「ホルモン感受性のある患者さんにはホルモン療法、ホルモンの感受性のない患者さんには化学療法を」という選択が推奨されています。このような治療の大枠は守られるべきでしょう。しかし、実際の診療では、患者さんそれぞれの全身状態はもちろん、医師の経験と実績によって対処法が変わってきます。また、副作用や治療期間、費用など、乳がん治療は患者さんの日常生活に多くの影響を与えますから、「早く仕事に復帰したい」「副作用を抑えたい」など、患者さんの要望もさまざまです。そんな要望に応えながら、最善の治療を進めるためには、ガイドラインの適用もある程度柔軟に考える必要があるわけです。
このほか、海外のガイドラインで推奨されている治療法が設備や機器の問題で実施できなかったり、日本では保険が適用されない治療に関しては負担が高額になることもあるので、ガイドラインからの逸脱がやむを得ない場合もあります。

乳癌診療Tips&Traps No.17(2006年10月発行)Question1を再編集しています。

※掲載された情報は、公開当時の最新の知見によるもので、現状と異なる場合があります。また、執筆者の所属・役職等は公開当時のもので、現在は異なる場合があります。

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